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賢者とは?~誰でも自分をアホとは思わない

「もしも愚者が愚であると知れば、すなわち賢者である。

 愚者であってしかも自ら賢者と思う者こそ、愚者と名付けられる。」


 (『ダンマパダ 法句経』第63偈 中村 元訳)



こんなに有名な言葉、真理も多くはないでしょう。
それが法句経という釈尊の説いた真理に近いとされる最古層の
仏典から発すると知らない人でも、知っているし、理解できる。

しかしこんなに簡単で、しかも実践が難しい真理も少ないようです。
分かってはいても、誰でも自分をアホとは思わないし、思いたくもない。
馬鹿にされたり、見下されていると感じると腹を立てる人が多いのが
その証拠です。論争をすれば勝ちたいと思う。勝ち負けの問題ではないはずが
いつも間にか議論はその本質を離れて、どちらがアホかの決定戦に変質していく。


「もしも愚者が愚であると知れば、すなわち賢者である」に
あやかりたいのか、本心からか、仏教者や、特に高僧たちは自分を
「愚者」「凡夫」、果ては坊主頭まで持ち出して「愚禿」などとまで呼んで、
自分を蔑み、下に置こうとする。相当我の強い宗派の開祖たちでさえも、
競って自分を愚者扱いしていて、自虐的ですらあります。

でもこれは、ちょっと間違えれば
「愚者であってしかも自ら賢者と思う者こそ、愚者と名付けられる」と
なってしまうのです。

要は、お釈迦様の言葉の真意は「謙虚であれ」ということだと思います。
常に自分自身を、自分の言動を省みて、その元となった自分の心をよく見つめ、
本心から自分は思い違いしていないか、間違っていないか、
愚かな言動や愚かな心を持っていないか検証して、正していくことが必要だよ、
と言うことではないかと思います。

けっして、自虐的になったり、自分をアホ扱いして認めない、という態度を
良しとしているわけではありません。むしろ
「自分をもっともっと大切にしなさい。そして自分を大切に思うように
 他人や生きとし生けるものも大切にしなさい」ということなのです。

合掌 観学院称徳
by kangakuin | 2005-11-03 23:45 | お釈迦様の言葉
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